平成27年度2回目の【岳連山塾】は、自然界に入っての本番研修会となりました。場所は、比良山系の登山口にもなっている、大津市葛川坊村町の明王谷周辺で開催しました。
今回は「沢の渡渉・滝高巻き等、危険箇所の通過」をテーマに、10数名の参加者が実地研修しました。塾生は、急流へ果敢に入水して沢の渡渉を研修し、淵や滝を高巻いて山腹から懸垂下降し再び河床に降り立つなどして、水がある山中での総合的な登下降技術を学びました。
記録
【岳連山塾】(第17回 実践的な山岳でのロープワーク研修)
目的 沢の渡渉・滝高巻き等での危険箇所の通過対処を研修する
主催 滋賀県山岳連盟 主管 指導・技術委員会
講師 山本一夫 滋賀岳連指導委員・日本山岳ガイド協会/国際山岳ガイド連盟認定国際ガイド
その他 滋賀岳連指導・技術委員及びフォロースタッフ
日時 2015年6月27日 (土)曇り・雨
場所 大津市葛川坊村町 明王谷上流周辺
集合 大津市葛川坊村町市民センター前駐車場 am7:00
地図URL http://yahoo.jp/mmC_Rw
対象 ・山岳バリエーションルートでの登山技術スキルアップしたい方
・ロープを使った登山技術を習得したい方
・この研修をお手伝い頂ける方
・等々
研修内容
・川・沢での渡渉、高巻き、滝の懸垂下降等の登山技術
・ルートファインディング・ロープワークシステムの構築
・自然からのリスク管理/防御技術 等
研修時間 7:30~16:30(移動含む)
参加 講師/スタッフ 7名 塾生 7名 計14名
(うち会員外は1名)
スタッフ所感
近年、地球温暖化のせいか気象の変化が激しくなっています。特に夏場の集中豪雨は場所や時を選ばず、急変を持って日本各地を襲う傾向にあります。突風や集中豪雨、雷などの影響で人の住む町には被害も相次いでいます。登山を行う山域も例外でなく、昨年も急な川の増水の影響で、何件かの遭難事故もありました。
そうした事例から見ても、近年は例え整備された一般登山道であっても、急激に増水した川に出くわすことを山行計画内に想定せざるを得ない時代になりました。今後登山する者は、渡渉技術など知っておくべき山岳技術があるだろう、という趣旨で指導・技術委員会はこの【岳連山塾】を企画しました。
研修は、水の流れを読みながらのフリー渡渉法をはじめ、ロープを使った場合の渡渉で、ロープワークや確保方法などを主任講師より学びます。普段行っているクライミングのシステムとは違った、水があるが故の技術を実践に即した形で教示頂きました。
研修の後半は高巻き~下降の訓練。この日の沢の状況もあって、当初予定していた高巻きを大幅に超える高高々巻きに内容を変更し、マルチピッチの懸垂下降など、訓練はまさしく本チャンさながらのものとなりました。
河床に降りてからも安全地帯に抜けるルートファインディング。地形を読みながら再度渡渉して帰路を探ります。そして最後まで気の抜けない急傾斜の尾根を登り返し、小雨が降り始めた林道に出て全員の無事を確認しました。
塾生の皆さんにはこの日の研修を通して、一般登山道から外れたルートに挑む場合のリスクの見極めやルート工作、システムの構築など多くのことを学んで頂いたのではないでしょうか。
【岳連山塾】は、今後もこうした実践に即した研修を繰り返して、参加される塾生諸氏に山岳における「攻撃と防御」法を習得していただくよう継続開講していきます。
記;指導・技術委員長
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葛川坊村町市民センター前駐車場にて
開校式の後、班分けして入山
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明王谷にて
塾生と講師がディスカッションしながらの研修です。
渡渉時のfixロープの張り方などを学びました。
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明王谷にて
手動と滑車システムで張った二本のfixロープ
双方で渡渉を体験し、そのリスクと効果を認識する
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高巻き~懸垂下降
下降点を地図と地形で判断して、そこからルンゼを4ピッチ懸垂下降する。
未整備の山腹は不安定で落石もあり、
ルート工作・ライン取りが難度が高くかつ重要です。
主任講師の的確なシステム構築を拝見出来たことも
この研修の大きな収穫でありました。
参加された皆さん、お疲れさまでした。
【岳連山塾】